こんにちは! 自己紹介をお願いします
GunplaMarkと申します。ソフトウェア開発者である傍らガンプラビルダーとして活動しており、gunplagallery.comの作成者でもあります。出身はアメリカですが、幼少期のほとんどをタイと韓国で過ごし、その時にメカアニメが大好きになりました。子供の頃、タイでマジンガーZや初代機動戦士ガンダムをテレビで見ていたのを覚えています。番組は日本語で、タイ語の字幕がついていました。当時の私は日本語を知らないばかりかタイ語を読むこともできませんでしたが、巨大なロボット達を夢中で何時間も見ていました。少し大きくなってから家族で韓国に引っ越したのですが、家の近所に小さなホビーショップがあり、足しげく通っていました。キットを買うためにお金を貯め、そのホビーショップで何時間もかけて組み立てたいキットを選んだものです。当時はガンプラキットの他に軍用機も作っていましたし、手塗りも少しやってはいましたが、それ以外の改造はあまりしていませんでした。悲しいことに、その時代に制作した作品のほとんどは家族でアメリカに戻った際に友人にあげたり捨てたりしてしまったのでもう手元にはありません。
アジアを離れてから長い間、全くキットを触らない期間が続きました。大学や仕事、そして自分の家庭を持ち何かと忙しく、制作のための時間を確保するのが難しかったのです。また、アメリカではガンプラキットを見つけるのが難しかったというのもあります。現在も住んでいるフロリダに引っ越してから私は小さなウェブ開発のコンサルタント会社で働き始めました。8年ほど前に家族でディズニーワールドに行った時のことですが、突然の豪雨に見舞われ園内のEPCOTエリアにある日本のおみやげ屋で雨宿りをしたことがありました。その店にはガンプラを飾った小さなディスプレイがあり、それを見て私は妻に自分が若い頃ガンプラを作ったことがある話をしました。すると妻が一つ買って作ってみたらどうかと提案してくれたので、私はその店で売っていた中から一番安いキットを選んで買いました。SDウイングガンダムのキットだったのですが、作り始めるとそれはもう楽しくて、すぐにまたこのホビーの魅力に引き戻されてしまいました。
ガンプラ作りにおいて子供の時と大人になってからで一番違ったのは、良い道具を買えるようになったということです。私がスプレーブースや本格的なサンディングツール、彫刻刀などを揃えるまでにそう時間はかかりませんでした。この時期に初めて作った全塗装キットがMG Hi-νガンダム Ver.Kaです。メタリックな光沢のあるアクリル塗料でエアブラシをかけ、紫と金のカラーリングに、地元のサッカーチームであるオーランドシティのロゴをプリントしたカスタマイズデカールを組み合わせました。当時はとても未熟だったもので、今になって自分の完成品を見るとずいぶんと上達したものだと感じます。
- Early builds, exploring different styles
それから数年間、私はトップビルダーたちのYouTube動画を何時間も見て、組み立てとディテールアップのテクニックを練習しました。かなりウェザリング塗装を施したものからクリーンなものまで様々なテクニックやスタイルを試してみましたが、私の好みのスタイルはカスタムのパネルラインや色分けを駆使してディテールを追加した、クリーン仕上げのものだということが分かりました。また、オンライン上で自分の作品をフォトギャラリーとして共有できる場所を探してみたのですが、これといったものが見つからなかったので自分で作ることにしました。そして2020年の春、私はgunplagallery.comを立ち上げました。このサイトは自分のためだけでなく、全てのガンプラビルダー達がバーチャルのディスプレイとして使えるように設計されています。サイトの開始から2年間で1000人以上のビルダーが参加するコミュニティに成長し、これまでに数えきれないほどの素晴らしい写真が共有されてきました。私は日々Gunpla Gallery を訪れて新しく共有された作品を見る度に刺激と制作意欲をもらっています。
これまで手掛けた制作活動の中で、一番好きだったものについて教えてください
ビルドにおいて、私は組み立ての工程と完成した時の達成感の両方を同じくらい楽しんでいます。楽しかったという点においてはいくつかお気に入りの作品があるのですが、その中でも特に気に入っているのはMG ウイングガンダムゼロ Ver.Kaです。この作品には個人的に重要な意味があり、かなり思い入れがあります。もともとこのキットを組み立てる予定はなかったのですが、1ヶ月間他のプロジェクトをすべて中止して空いた時間をすべてこのキットに費やすことになりました。なぜそんなことをしたかというと、 私の友人のためだったのです。

MG Wing Zero Ver.Ka
友人のテオは20代前半の若者でしたが、私は彼が10代の頃から知っていました。私たちが初めて会った直後に彼は珍しいタイプの癌と診断され、多くの困難と挫折を伴う長く厳しい闘病生活を送りました。テオは癌を克服することができましたが、その闘病生活により身体的な困難がいくつか残りました。彼はその後グラフィックデザイナー、アーティストとして才能を発揮するようになり、私のガンプラビルダー仲間でもありました。Gunpla Gallery を立ち上げて間もない頃、私はテオにGunpla Gallery のロゴを入れたSDゼータガンダムをプレゼントし、彼の作品も何か一つサイトで紹介してはどうかと勧めました。しかし、その機会が訪れることはありませんでした。テオは2020年の終わり頃コロナに感染し、2021年の2月に他界してしまったのです。

SD Zeta Gundam
2021年の3月、私はテオに敬意を表しウイングガンダムを組み立てました。私の代名詞的なスタイルを適用し、少しディテール書き加えながらも、きっとテオが選んだであろうオリジナルに忠実なパステル調のカラーリングを施しました。この作品は、それまでに私が取り組んだ作品の中で最も野心的なものになりました。私はプロジェクトに対して期限を設けることがあまりないのですが、この作品はテオの遺族への寄付を募るために使うことを決めました。Gunpla Gallery の他のメンバーも参加し、その月にサイトで共有された作品ごとに募金を集めました。この活動は私の友人を称えるためのやりがいあるプロジェクトでしたが、短期間に多くの時間を費やしたため精神的にも肉体的にもかなり疲弊しました。

MG Wing Zero Ver.Ka
この時作ったウイングガンダムの最終的な仕上がりには非常に満足しています。これは今も私の飾り棚の目立つところに置いてあり、見るたびにテオを思い出します。まだ実現できていませんが、いつかはテオの家族が保管している彼の作品と引き換えにプレゼントしようと考えています。
新しい制作を開始する工程について教えてください
私はいつも、プロジェクトごとにまず仮組みをすることから始めます。私の制作行程は非常に戦略的で、モビルスーツを実際に手に取ってみなければどういった改造をするか、配色はどうするかといったディテールが見えてこないのです。仮組みの後はモビルスーツ全体に軽くプライマーを吹き付けて真っさらなキャンバスのような状態にしてから作業を始めます。下塗りしたパーツに直接鉛筆で描き込みをしながら、パネルラインやその他カスタムディテールを考えていくのです。下塗りしたキットを写真に撮りPhotoshopを使って配色を検討することもありますが、たいていの場合は頭の中で配色をイメージして作業を進めていくことが多いです。
組み立ての計画を立てる際のインスピレーションを得るために私にとって最も重要なことは、時間をかけることだと思っています。私はキットを仮組みした後、数日から数週間置いておくことがあります。その間に想像力を働かせてアイデアを練るのです。私は常日頃YouTubeやGunpla Gallery、Twitter、Instagramなどのメディアで他のビルダー達の作品を見ているので、そこからアイデアのヒントが得られます。思いついたことを紙に書き出すこともありますが、自分の頭が一番いいものを選び取って記憶してくれるだろうと信用して書き出さないことの方が多いです。自分がワクワクできるようなコンセプトをつかめたら、それが作業の始め時です。
組み立てのプランニングが全て完了したら、キットを分解して必要な修正を加え、各パーツにサンディングとプライマーを施して塗装の準備をします。私の塗装スタイルはマスキングを多用するのが特徴で、1つのパーツに3、4層塗り重ねて色を見せることもよくあります。塗装後はパネルラインウォッシュ、デカール、そしてトップコートを塗ります。通常はスーパーつや消しのトップコートを使用しますが、逆に光沢のある仕上げにした作品も数体あります。
SNSでフォローしている人はいますか?
私がソーシャルメディアでフォローしているビルダーには、インスピレーションを与えてくれる卓越した作品の写真を投稿している人がたくさんいます。ここでは、その中から私が気に入っている3人の方を紹介します。この3人は、彼らの作品のある側面が私へ影響を与えているという点で選びました。
パネルラインのデザインでまず思い浮かぶのは、Colony Drop さん(TwitterとInstagramともに@dropcolony)の作品です。彼はパネルデザインの美しさを追求するだけでなく、機能的かどうかという観点からも非常に多くのことを考えているのが分かります。彼の作品を観察する度にいつも新しいアイデアが浮かびますし、新しいスクライビングのテクニックの勉強にもなります。
キット全体に関する美的感性という点においては、Miniaturiteさん(TwitterとInstagramともに@miniaturite)の作品に刺激を受けています。彼が完成させるビルドはシンプルさとディテールのバランスが絶妙で、すべての要素が一体となって美しい芸術品に仕上がっています。また、彼が撮影する写真には本物のモビルスーツが持つ巨大さと威厳を感じさせる特別なものがあります。
エアブラシを使った複雑な技巧については、Jenicさん(Instagramでは@mission9588、YouTubeではJENIC)の作品が非常に秀でています。塗装の仕上がりはまさに完璧で、彼の動画を何度も見直しながら自分でもエアブラシのテクニックを磨いているところです。
次の制作予定(または現在進行中)は何ですか?

MG Dynames
MGヴァーチェのカスタマイズに間もなく着手できるので、とても楽しみにしています。私のお気に入りの作品の中にはMG デュナメスとキュリオスの2体があるのですが、チーム全機を一緒に展示できるようヴァーチェとエクシアも完成させなければなりません。MGヴァーチェの仮組みは何ヶ月も前に作ったのですが、パージしたヴァーチェの外装と中のガンダムナドレを飾れるディスプレイスタンドをずっと待っていたんです。最近やっと届いたので、これでプロジェクトのディテールと塗装の準備が整いました。

MG Kyrios
チームとして同じ設備で同時に設計・制作されたように見せたいので、今回のMGヴァーチェも以前に作った同シリーズの他の作品達と同じスタイルで仕上げるつもりです。デュナメスとキュリオスの完成品をよく見ると、両方のモビルスーツに明らかに共通いているディテールやテーマがあることが分かると思います。これらをよく観察し、作ったときに自分がした選択を思い出しながら同じデザイン方針を再現することがヴァーチェを作る際の目標です。
プロジェクトは8月に開始して、2〜3ヶ月で完成させたいと考えています。制作過程の写真は私のソーシャルメディアアカウント(Twitter、Instagram、YouTubeいずれも@gunplamark)に投稿し、完成したらいつものようにgunplagallery.comで大きなフォトギャラリーを公開予定です。