こんにちは! 自己紹介をお願いします
こんにちは。私はJL Gunpla UKことジェイソンと申します。今はガンプラ塗装のアルバイトとオンラインショップのオーナーをしています。私は香港で育ったのですが、ガンダムは昔から香港でもずっと人気がありましたので、私も幼い頃から自然とガンプラに親しんできました。
私が初めに手にしたキットはMG GP01、MGウイングガンダムEW Ver.Ka、1/100ジャスティスガンダムでした。幼い頃の私はハッチオープンギミックが理解できずに開閉箇所も接着剤で貼り付けてしまっていたのを覚えています。2009年から2014年にかけて私はイギリスで中等教育を受けていたためガンプラに触れる機会がありませんでした。ですから、その後再びガンプラを「発見」した時には知らぬ間にガンプラ開発があまりにも発展しており圧倒されてしまいました。
私はホビーに目覚めるのが早かったせいか、バンダイの出すキットの難易度ではもう満足できません。好きなグレードは間違いなくPGなのですが、残念ながらPGの種類はそこまで多くありません。それゆえにレジンキットや Mechanicore など他のブランドのキットにも手を出すようになりました。
子供の頃に塗装のまねごとをしてみたことはありますが、スプレー缶を使う程度のものでたいした事はしませんでした。2018年に初めてフル塗装をしたキットがPGのストライクガンダムでした。当時の私はこの仕上がりにとても満足したのですが、今見ると改善すべき点がたくさんあることが分かります。ですが、過去の作品を見て恥ずかしいと感じるのは自分の技術が向上した証だと私は信じています。
私が質の高い作品作りをするために最も大事な原動力となっているものが2つあります。1つ目は、完璧かつ芸術的なペイントワークをする素晴らしいペインター達の存在です。彼らの色使いを研究して自分のプロジェクトへ応用するのはつくづく素晴らしいことだと感じます。2つ目は、私の作品を評価してくれる人達の存在です。私は自分の仕事においてできるだけユニークでありたいと思っていますし、私の作品を見る人達もその点を評価してくれているのではないかと考えています。
これまで手掛けた制作活動の中で、一番好きだったものについて教えてください
今まで手がけてきた仕事の中で気に入っていて、かつ最も難しかったのは1/48のNuガンダムです。これはG-Systemのレジンキットです。一般的に日本のモデラー達がレジンキットをあまりよく思っていないのは知っているのですが、私は大きなスケールモデルが本当に好きで、そしてバンダイは大きいサイズのキットをあまり扱っていないのです。このキットは全長50cm、ファンネルを入れるとなんと65cmです!レジンキットはプラスチックキットと違って一つ一つのパーツが手作業の鋳造で作られているため、念入りなサンディングと調整が必要で、成形もプラスチック射出成形ほど精密ではありません。そのため、サンディング、隙間埋め、スクライビングといった作業だけで1ヶ月以上かかりました。しかもこのキットは2008年頃に発売されたものだったため、制作したその当時で既にデザインはかなり古く、よりVer.Kaらしい見た目にアップデートするためにディテールを追加したり形状を変えたりとさらに時間をかける必要がありました。
そんなこんなで完成までに毎日作業をして約2ヶ月半かかりました。先ほども述べた理由からこのキットは私の中で最も困難なプロジェクトだったわけですが、作業にかかる手間以外にも、重量の問題とも向き合わなければなりませんでした。レジンはプラスチックよりはるかに重く、キットの総重量はなんと5kg以上にもなりました!これだけ重いキットになると、ガンダムのデザインがいかに非現実的であるかが分かります。Nuガンダムはファンネルとシールドの関係で重心が左上にずれているので、自立しません。一応、自立している写真を撮ることはできたのですが、それもキットが重量に耐えかね足から崩れ落ちてしまう寸前のことでした…幸いにも取り返しのつかないことにはならず、軽い修繕の後にファンネルを支えるためのスタンドを設置しました。このプロジェクトがもたらした頭痛や心労についてはお分かりいただけたかと思いますが、今ではこの作品を見て、当時費やした労力に感心します。
バンダイのキットで一番好きだったプロジェクトは、PG Unleashed RX-78-2ガンダムです。このキットはとてもスムーズに組み立てることができ、塗装するのもただただ楽しかったのを覚えています。
また、3DモデラーのSumimasen Designs さんにお願いしてOriginの装備パックを作ってもらい、PG Unleashed をOriginバージョンにしました。 これが大変見事に完成し、PG Unleashed は私にとってバンダイが作ったキットの中で間違いなく最高のものとなりました。
新しい制作を開始する工程について教えてください
私はキットバッシングのようなフルカスタマイズをしないので、新しいプロジェクトを始める際にそれほどプランニングを必要としません。ですが、キットの事だけでなくモビルスーツのバックグラウンドについてもリサーチを行います。というのも、私はガンダムの世界に出てくる色をそのまま使うことが多いので、正しい色を前もって知っておくことがとても重要なのです。
例えば、フルアーマーガンダムMkIIIのキットを塗装していた時のことですが、私はFAZZカラーにしたかったのでFAZZ Ver.Kaの画像を調べてガンダムMkIIIに合わせる色を確認しました。実際の色を確認した後は色の混合比率を参照するためネットのマニュアルを見ます。もちろん100%同じ色を作れるわけではありません。毎回スプレーテストと色の調整を行い、導き出した比率はメモして毎回同じ配合で塗れるようにしています。
また、色選びもとても重要です。ここで私が言う色選びというのは、全体の見た目のバランスを損ねない色を選ぶということです。例えば、白いガンダムスーツの場合は濃くてダークな色を使い過ぎると白と黒が対立してコントラストが強くなりすぎてしまうので避けます。
どの色を使うかだけでなく、それぞれの色をどこに配するかも考えなければなりません。コントラストが強くなり過ぎずちょうどいい感じに仕上げるには、ロジカルなプランニングが求められます。私は、欧米のペインター達がやっているようにインナーフレームにメタリックカラーを使うのは避けますね。ネジやピストンの細部にシルバー色を塗ると、キット全体がメタリックな雰囲気になりすぎてしまいますので。
キットにカスタムディテールを加えたいと思うことも時々あります。そんな時はインスピレーションを求めてRaviPlaやNAOKIといった才能あるモデラー達やレジンキットなどを参考にし、キット全体の印象を壊さずそれとなくディテールを追加するための方法を考えます。
SNSでフォローしている人はいますか?
私がInstagramでフォローしている人達を何名か紹介します。彼らのやり方はとても個性的で、私にとって特別な存在です。
- Saint-ism – 純粋にその塗装のスタイルから、初期の頃の私にとても大きなインスピレーションを与えてくれた人物です。とてもユニークな技法が特徴で、写真を見ればすぐに彼の作品だと分かります。私が明るい色で陰影をつける方法を学んだのも、彼の作品を見てからです。
- Gunpla_enthusiast – GBWC Canadaの優勝者ですが、彼の作品を見ればその理由ははっきりと分かります。彼が創り出すキットバッシングの方法は非常にクリエイティブで、塗装も完璧にこなします。彼が作ったガンダムアーティファクト・ディープストライカーのキットバッシュを見てください! こんなに小さいのにとても綺麗な仕上がりです!
- Vgunplaproduction – こちらは塗装・制作スタジオのアカウントです。塗装の技術が見事なのはもちろんですが、写真の腕前は間違いなくもっと素晴らしい。レジン・GKキットを扱うスタジオの塗装作業や商品撮影を多く手がけているのも納得の実力です!
この限られたスペースに全員を紹介することはできませんが、私が注目している素晴らしい職人達はもちろん他にもたくさんいます!日本人モデラーの yamaneko311 や rikururi33 、また韓国人ペインターのmomomodelling や seoyahooya などもその中の一部です。
次の制作予定(または現在進行中)は何ですか?
現在私はガンダムアーティファクト(小さなサイズのキット)のプロジェクトを終えつつあるところなのですが、その中でスプレー塗装だけを用いて手塗りをしないチャレンジをしています。しかし、なんといっても難しいのは最終的な仕上がりをできるだけ綺麗に完成させることです。高さ5cmほどの小さなキットなので、不完全な箇所があれば写真を撮った時にその部分が拡大されて写り込んでしまいます。また、キットの小ささとシンプルさゆえに継ぎ目の溶接・除去やパネルラインのスクライビングも必要で、想像以上に時間がかかるんですよ!